戦争にいった兵士によくあるのがPTSDですが、それは普通の日常生活を営んでいる人間でもあることです。人によって過去に受けたトラウマの種類やレベルは違いますが、それが大人になってもずっと影響しており、何らかの形で外にでて精神的影響を強く受け、病気になってしまうことがあるのです。それを治療するやり方の1つに、催眠療法があります。催眠療法は患者を眠りに誘導させ、無意識、つまり潜在意識を呼び出して治療者と会話することでトラウマを克服したり、ストレスを開放したりすることを目的としています。良いことばかりが注目されがちなこの療法ですが、やはり何事にもメリットがあればデメリットがあるように、リスクも存在しているのです。ではそのリスクとは、何でしょうか。

効果的だと思ってもショックを与えることがある

催眠療法では患者がうとうとと眠りにつき、潜在意識が出てきたところで肯定的な暗示をかけて症状を和らげたりトラウマを克服させたりします。しかしこの暗示が、施術者が肯定的であると思っていても患者本人にとっては否定的であることがあります。例えば禁煙をしたいとは思っていない患者に療法を施して禁煙へ誘導しようとし、喫煙のリスクについて事細かに話したとします。患者は恐ろしい肺がんのイメージを持ちましたが、やはり禁煙はせずにタバコを吸っていました。すると潜在意識は、善悪は理解しませんので、肺がんになるというイメージだけを取って実行に移そうとします。喫煙すれば肺がんになる、と暗示をかけられていたので、体はそのように動くのです。暗示をとかなければ、そのまま肺がんになってしまうところでした。

間違った記憶を本物だとすり替えてしまう

退行催眠とは潜在意識を使って昔に戻っていき、必要な記憶を取り出してトラウマの原因となったものの正体を探ったりするときに有効です。しかし、これにもリスクがあります。例えば問題としては、間違った記憶を患者は本物の記憶であるとすり替えてしまうことです。潜在意識は善悪の区別がつきません。本当は違う記憶であるのに施術者がそれを本物であると思ってそれを基にして施術をしてしまうと、潜在意識は偽物の記憶を本物だと認識してしまうのです。これでは身体的負担や精神的負担を軽くしようとした結果、逆にトラウマを酷くしてしまうことになりかねません。治療としては致命的なミスであり、大抵の人はパニック状態に陥ってしまうか、ショック状態になり、酷い場合には心臓発作のような症状が出ることもあります。